増田法律事務所ブログ

任意後見(その2) 財産管理契約との併用について

2012.05.16

大阪市北区 増田法律事務所 弁護士 増田勝洋 気になるトピック!

 任意後見契約は、委任者が受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護尾財産の管理に関する事務の全部または一部を委託する委任契約であって、委任者がそのような状況になり家庭裁判所が任意後見監督人を選任して初めてその効力が生ずるものです。
 ですから、たとえば、高齢者等の方で、精神上の障害はないが、身体上の障害により署名ができないなど、契約などの法律行為をすることが不便だとぃう人は、任意後見契約を締結していても、実際に「精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるとき」に至るまでは、任意後見の制度を利用することができません。

 では、このような人が契約締結の時点の時点から自己の財産について一定の管理などを任意後見人の候補者に任せてしまいたいと考えている場合はどうすればよいでしょうか。
 このような人は、いわゆる財産管理等委任契約(通常の任意代理の委任契約)を利用して、直ちに、任意代理人を選任し、任意代理人に、自己の生活、療養看護および財産の管理に関する事務の全部または一部を委託し、その委託に係る事務につぃて代理権を付与することによつて、取引社会におぃて一定のサポートを受けることができます。
 すなわち、任意後見契約を締結する際に、このようないわゆる財産管理契約を併用すれば、それ以降、仮に自分が事理を弁識する能力を失うか失わないかにかかわらず、安心して受任者からのサポートを受けることが可能になるわけです。

 但し、自己の財産管理権の全部または一部を第三者に任せるわけですし、後見監督人も当初からは存在しませんから、そのような任意の財産管理契約を締結する際には慎重に検討した上で行わないといけないことは言うまでもありません。

投稿者:増田法律事務所

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